対談

HOME > 対談 > コラム【防水工事シリーズ③】防水工事で後悔しないための考え方

コラム【防水工事シリーズ③】防水工事で後悔しないための考え方

― 現役施工管理の目線から ― これまでのコラムでは 【防水工事の基本的なステップ】【ウレタン防水と塩ビ防水の違い】についてお話してきました。 最終回となる今回は、実際の現場でよくある「つまずきやすいポイント」と、失敗を避けるために知っておいてほしい考え方をお伝えします。 現場で施工管理をしている立場だからこそ感じる「リアルな話」を、できるだけ分かりやすくまとめました。

防水工事で起こりやすい「つまづきポイント」

  

防水工事でトラブルにつながりやすいのは、主に次の3つです。

  

  

  • 下地処理の不足(これが一番多いです)
  • ウレタン防水で1回塗りなど、規定の膜厚が確保できていない
  • 立ち上がりや端部の処理が甘い

  

  

見た目はきれいでも、こうした部分がきちんと施工されていないと、
数年以内に雨漏りが再発してしまうことがあります。

  

  

また、雨漏りの原因が一箇所だけとは限らないケースも少なくありません。
そのため「防水を直したのに雨漏りが止まらない」という相談も実際にあります。

   

  

ミツケンでは、防水工事についてこの工事をすれば絶対に止まります」と安易に言い切ることはしません。

  

   

考えられる原因を最初にすべて説明したうえで、どこまで対応するのか、どんなリスクが残るのかを共有しながら工事を進めています。
これが、後々のトラブルを防ぐうえでとても大切なポイントだと感じています。

  

  

施工管理が印象に乗っている「嬉しかった工事の話」

  

防水工事は「雨漏りを止める工事」と思われがちですが、実際の現場では、それだけでは語れないケースがたくさんあります。

  

僕自身、施工管理として多くの防水工事に関わってきましたが、

  

  • 防水工事が建物のイメージづくりにつながった現場
  • 全面やり替えと言われていたのに、必要な部分だけの補修で改善できた現場
  • 事前の想定を超えて、追加工事が必要になった現場

  

など、印象に残っている出来事がいくつもあります。

  

実際の話を通して、防水工事を考えるときの不安の解消やヒントになればうれしいです。

  

  

大きな屋上を一新した現場

  

とても印象に残っているのが、製薬工場さんの大規模な屋上防水工事です。
何万㎡クラスの広い屋上で、正直なところ最初はかなりのプレッシャーがありました。

  

無事に工事が終わり、一面きれいに仕上がった屋上を見たときは「防水をやり替えるだけで、ここまで印象が変わるんだな」と、
施工管理の僕自身も感動したのを覚えています。

  

その工場では「上空から見たときにも自社のイメージが伝わるように、企業カラーのグリーンにしたい」
というご要望がありました。

  

航空写真で見られる前提で屋上の色を考える、という発想はそれまであまり意識していなかったので、とても勉強になった現場です。

  

少し特殊なケースではありますが、一般のマンションやビルでも、

  

  • 上から見た印象
  • 隣の建物からの見え方

  

といった「見られ方」は意外と共通しています。
防水工事は、雨漏りを止めるだけでなく、建物のイメージにも関わる工事なんだなと改めて感じた事例でした。

  

  

  

全面改修だと思っていたけれど…

  

もう一つ印象に残っているのが、ピンポイント補修で雨漏りが止まった現場です。

  

他社さんからは「屋上全体をやり替えないとダメです」と言われていたそうですが、実際に確認すると、
全体の状態はまだ良好で、明らかに傷んでいるのはごく一部だけでした。

  

そこで「この一箇所をしっかり直せば、当面は問題なさそうです」とご提案し、必要最小限の工事を行いました。

  

結果、雨漏りはピタッと止まり、オーナーさんから「全部やり替えるしかないと思っていたので、本当に助かりました」
と言っていただけたのが、とても印象に残っています。

  

もちろん、すべての現場がピンポイントで済むわけではありません。ただ、状態が良いところまで無理に工事を広げないという意識は、
常に大切にしています。

  

  

正直ちょっとヒヤッとした事例

  

これは「失敗」というより、想定以上だったケースとして知っておいてほしい話です。

  

  

ウッドデッキの下をめくってみたら…

  

屋上にウッドデッキが敷いてあり、「デッキの下から雨漏りしている」というご相談がありました。

  

  

※写真はイメージ

  

  

もちろん事前調査や、必要であれば水かけ調査(実際に水を流してどこから漏れているのか確認する作業)なども行います。
ただ、下地の状況は実際に工事が始まってめくってみないと分からない部分があるのも事実です。

  

なので防水工事の見積もりは、基本的にめくる前の情報で作るしかありません。図面や経験をもとに「このくらいの劣化なら、このくらいで収まりそうだな」という想定で金額を出します。

  

  

ところが実際にウッドデッキを撤去してみると、下地が想像以上にボロボロで、大きく傷んでいたことがありました。

  

  

その場合、

  

  • 当初想定していた補修量では足りない
  • 追加の下地補修が必要
  • 結果として工事費が増える

  

という状況になりました。

  

このことをオーナーさんにご説明すると、正直なところ「そんなに傷んでいるとは思っていなかった」と、少し驚かれてはいました。

  

  

  

  

ただ、事前の調査段階から「ウッドデッキの下は、めくってみないと分からない部分があること」「下地の状態によっては追加が発生する可能性があること」をお伝えしていたこともあり、「そういうリスクがある工事なんですね」と、冷静に受け止めてくださいました。

  

発注を悩まれる、というほどではありませんでしたが、状況と必要な工事内容、金額の理由を改めて説明したうえで、結果的にはミツケンに工事をご依頼いただきました。

  

工事後は、「最初にきちんと説明してもらっていたので、納得してお願いできました」と言っていただけたのが、印象に残っています。

  

この現場を通して改めて感じたのは、防水工事では「何が起こり得るか」を事前に共有しておくことの大切さです。
こうしたケースは感覚的には100件に1件あるかどうかですが、

  

構造が複雑になればなるほど、どうしても「めくってみないと分からないリスク」があります。

  

見積書に注意書きを入れるだけでなく、口頭でもきちんと説明しておくことが、オーナーさんの不安や不信感を減らすことにつながる。 
施工管理として、改めてそう感じた現場でした。

  

 

防水工事の会社選びで、施工管理として大事だと思うこと

  

防水工事は専門的で「どの会社に頼めばいいのか分からない」という声を本当によく聞きます。
ここからは、施工管理の立場から「ここを見ておくと安心ですよ」というポイントをお伝えします。

  

  

  

  

1.防水に対する知識と経験があるか

  

まず一番大きいのはここです。驚きますよね。
「防水もできる会社に頼んでいるんだから防水の経験があって当然でしょ」と考えるのは普通だと思います。
防水工事を施すのは、職人ですが「現場調査」に来るのはそうとは限りません。

  

  • 現場調査にも防水の職人・施工管理などが調査に来るパターン
  • 営業担当が現場調査に来るパターン

  

これだけでも、提案の精度は大きく変わります。

  

とはいえ、専門的な内容を聞いても判断が難しいですよね。
営業担当でも知識がある人も、もちろんいます。
そんな時はあえて質問をしてみるのがおすすめです。

  

  • 「この工法は、どんな場合に使うのが正解ですか?」
  • 「防水シートの重ね幅はどれくらい必要なんですか?」
  • 「この形状だと、どう納めるのが一般的ですか?」

  

  

こうした基本的な質問に、自分の言葉でわかりやすく答えられるかは、とても重要です。

   

逆に、

  

  • 工法名だけ並べて詳しい施工方法については言わない
  • 話が曖昧で根拠が見えない
  • 「なんとなく」「ふんわり」で答えようとする

  

こうした場合は、少し注意した方がいいかもしれません。

  

施工管理の立場からすると、正直「ちょっと意地悪かな」と感じる部分もあります。ただ、施主さんにとっては決して安くない工事だからこそ、基礎的な質問をいくつかして、その反応を見るくらいが、ちょうどいいと僕は思っています。

  

  

2.見積書が「防水工事一式」だけになっていないか

  

見積書にも、その会社の姿勢が表れます。
危ない見積書の見分け方を以下にまとめました。

  

  

  

  

3.メリットだけでなく、デメリットも説明してくれるか

  

「これをやれば完璧です」
「この工法しかありません」

  

こう言い切る会社には、少し慎重になったほうがいいかもしれません。防水工事に限らず、工事全般にいえる話ですが
本来は、以下のような点を踏まえて工事内容を判断するものです。

  

  • 良い点
  • 弱点
  • 他の選択肢
  • コストと耐久性のバランス

  

「こちらもアリですが、こういうリスクがあります」と、複数の選択肢を正直に説明してくれる会社には、安心感があります。
そうした提案ができるかどうかは、お客様の要望をどれだけ丁寧にヒアリングしているかに表れると感じています。

  

  

最後に:初めて防水工事を考えている方へ

  

初めてだと、不安になるのは当たり前です。

  

「本当にこの工事でいいのか」
「この金額は妥当か」

  

そう感じたら、納得できるまで説明してくれる会社かどうかを大切にしてください。

  

緊急性にもよりますが、防水工事は必ずしもその場ですぐ決める必要はありません
一時的な応急対応だけで終わらせるのではなく、これからも長く住み続けていく建物だからこそ、
将来を見据えて「安心できる工法」を選ぶことが大切だと思います。

  

分からないことや、不安に感じることがあれば、どうぞ遠慮なく聞いてみてください。
誠実な業者であれば、良いことだけでなく、気になる点も含めてきちんと答えてくれるはずです。

  

工事を急がない判断も、立派な選択のひとつ。
納得できる形で、防水工事を進めてもらえたらと思います。

  

防水工事は、完成してから「やり直し」がききにくい工事です。
だからこそ、どの業者に頼むかは本当に大事なポイントになります。

  

今回の付録では、施工管理の立場から見て「ここを確認しておくと失敗しにくい」という
業者選びのチェックポイントをまとめました。

  

専門知識がなくても確認できる内容なので、初めての防水工事でも安心して使っていただけると思います。
これから業者選びをする方の判断材料として、気軽に使ってもらえたら嬉しいです。

  

  

  

防水シリーズ他はこちら

  

この記事をシェアする

プロフィール

森田誠也

マンションやビルの大規模修繕工事を中心に、現場管理・品質管理を担当。
これまで手がけた建物は1000棟を超え、外壁補修・防水・塗装など多岐にわたる工事に携わってきました。

現場では常に「大家目線で安心できる修繕を」を意識し、オーナー様・管理会社様それぞれの立場に寄り添った最適な提案を心がけています。
また、施工品質だけでなく、居住者や近隣への配慮・コミュニケーションを大切にし「気持ちの良い現場づくり」をモットーにしています。

保有資格:1級建築施工管理技士補、雨漏り診断士、建物検査士、賃貸住宅メンテナンス主任者

株式会社ミツケン

大阪と東京を拠点に、マンション・ビルなどの大規模修繕工事・改修工事を手がける専門会社。
建物の調査・診断から、施工、アフターフォローまでを一貫して行っています。

オーナー・管理会社・入居者、それぞれにとって安心できる修繕を目指し、施工会社としての視点に加え、大家さん・CPM(不動産経営管理士)の視点から、本当に必要な工事だけをご提案できることがミツケンの強み。
長年のご縁に支えられ、リピート率は80%超。これからも誠実で正直な姿勢で、大家目線の安心できる修繕を行ってまいります。

関連対談はこちら